大判例

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高松高等裁判所 昭和29年(う)546号 判決

被告人は前田実より売却方の依頼を受け、同人から覚せい剤注射液二cc入りアンプルを(1)高知県香美郡赤岡町一五六番地の被告人の居宅で、昭和二十九年三月頃三回にわたり三百本、五百本、千本計千八百本を(2)同年四月頃同香美郡野市町三木利一経営のパチンコ店で五百本を、それぞれ不法に交付を受けて譲受けた原判示事実を認めることができる。

論旨は、「本件の如き薬品に手を触れずして単に買手を周旋し、売主より直接薬品を手交せしめたる行為及売手の使として薬品を受取り買手に交付する行為の如きは、共に譲渡の幇助にして譲受けの観念には包摂せられざるものと解す」と言うのである。しかし被告人は前示の通り前田実より売却方依頼せられて覚せい剤(ヒロポン)の現物の交付を受け、その大部分を他に売却又は自ら使用しているのであつて、かくの如く、不法に他人より覚せい剤の売却方を依頼せられて、その処分権を与えられてその現物の交付を受けることは、直接その所有権の移転を伴わなくとも、覚せい剤取締法第十七条第三項の「覚せい剤の譲り受け」に当り(麻薬に関する昭和二十七年四月十七日、昭和二十八年十二月二十四日の各最高裁判所の判決参照)、同法第四十一条第一項第四号の不法譲受罪の正犯を以て論ずべきもので、覚せい剤不法譲渡の幇助犯に過ぎないものではない。原判決には事実誤認も法律適用の誤りもない。

(裁判長判事 坂本徹章 判事 塩田宇三郎 判事 浮田茂男)

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